2019年1月6日日曜日

読書環境

今日読んだ本、はじめての解析学 微分、積分から量子力学まで (ブルーバックス) (原岡 喜重(著)、講談社)の感想。

本書はとてもバランスのいい感じの解析学の本だった。ここでいうバランスとは、歴史(流れ)、範囲、定義、定理や命題等とその証明について。

歴史、流れについては解析学の始まりから、現在存在する解析学に含まれる各分野がどのようにして登場してきたか、どのような問題に対処するために発展してきたか、またどのような人物の閃き、発見によって進化してきたかがとても分かりやすかった。また、過度に深入りすることもなく、気軽に解析学全体を眺めることができた。

範囲についても、現代の解析学の各分野の基本的な事柄を歴史に沿って述べられていて、さらには数学のみではなく最後に量子力学への貢献も記述されていた。なので、解析学の各分野がどのように関連しているか、さらに数学にとどまらず物理学との関係が無理なくスッと入ってくる感じ。

定義、定理や命題等とその証明については定義や定理の意味や目的はちゃんと分かり、かといって証明に深入りしすぎたりすることがないので、躓くことなく読み進めることができた。さらに深く知りたいという場合には本書とは別にウェブサイトに付録として解説や証明まで用意されてるのも嬉しい。

なので、バランスが良く、難しすぎず、かといって簡単すぎず、肩の力を抜きつつも解析学についてかなり深く知ることができた感じ。

表現として、色々あるけど特によかったなぁと感じたのは、積分を滑らかにするもの、微分をギザギザにするもの簡単な和と差、積分難しい積と商、微分部分。今までなんとなく分かっていたことではあるけど、しっかり言葉にして表現されるとモヤモヤが取れて視界がすっきりして理解できた。

注意点としては、「はじめての」と題名にあるものの、ある程度は数学の前提知識が必要であるということ。なので、もし本書を読み始めてみて難しいなぁと感じることがあるなら、その難しい分野等の基本的なことは学んでから本書を読み直せば十分楽しめる一冊。

ということで、本書のおかげで楽しく気軽に現代の解析学の全体像を学ぶことができたので、最後にあった参考文献の本の中から興味のあるものを見つけて、次は気軽にではなくより一歩深く踏み込んで解析学を学んでみたり、本書が読みやすかったので、原岡喜重さんの他の本も読んでみようかなぁと思った今日この頃。

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