2012年9月26日水曜日

今日読んだ本と感想。

内容紹介

 2007年、京都大学の山中伸弥教授が中心となって開発に成功した人工多能性幹細胞(iPS細胞)のニュースは、世界中を驚かせました。このiPS細胞によって、臓器再生や難病治療など、再生医療や創薬の可能性が大きく前進するからです。本書はこのiPS細胞について、基礎のキソからわかりやすく解説しています。ぜひ本書で、iPS細胞と再生医療の可能性に触れてみてください。

目次

序章 iPS細胞と再生医療
 1 iPS細胞と再生医療が拓く夢
 2 「夢」の医療の正体とは?
 3 細胞と再生医療の関係は?
 4 細胞のもつ不思議な能力
第1章 生命の基本単位である遺伝子と容器としての細胞
 1 無限(遺伝子)と有限(生命)の境界
 2 DNAは生命の「基本的計画」
 3 4つの塩基が選ばれた理由
 4 ウイルスと細胞(細菌)との決定的違い
 5 細胞とはなにか?
 6 死なない遺伝子とかならず死ぬ細胞
 7 原核細胞と真核細胞
 8 細胞内小器官の発達
 9 寄生虫ミトコンドリア
 10 細胞の仕組み ~エネルギー産生、タンパク質製造~
 11 遺伝子が仕掛ける罠 ~細胞分裂~
 12 死なないための遺伝子の戦略
 13 細胞の死という宿命
 14 単細胞生物と多細胞生物の違い
 15 細胞の集合体と細胞間相互作用
 16 細胞と細胞の緻密な連絡 ~伝達物質~
 17 そして細胞の集合体・高等生物へ
第2章 人体を構成する細胞の特殊性とは?
 1 人体は約60兆個もの細胞の集合体
 2 人体を構成する細胞の種類
 3 数万年を数時間で再現する発生 ~1つの受精卵~
 4 受精卵と分化~非対称性細胞分裂~
 5 受精卵と生殖細胞の決定的違い
 6 受精卵とはなにか? ~その能力~
 7 幹細胞とはなにか?
 8 幹細胞と万能細胞の違いは?
 9 ES細胞(胚性幹細胞)とiPS細胞の違いは?
 10 トカゲのしっぽは生えるのに、なぜ人間の指は生えないのか?
 11 臓器と細胞の違い ~細胞の集合体が臓器ではない~
 12 変わらない遺伝子、変わる細胞
 13 がん細胞とは?
 14 がん細胞と万能細胞の関係
 15 細胞を操作する技術
 16 ついに人工生命(人工の遺伝子)ができた!
第3章 細胞を用いる医療とその可能性
 1 再生医療の定義 ~再生させる医療と再生医療の違い~
 2 再生医療の歴史
 3 人工授精と再生医療
 4 遺伝子を操作する技術
 5 細胞の自己複製能力と生命の再生能力の違い
 6 がん研究から生まれた万能細胞
 7 現在行われている再生医療とは?
 8 どうやって再生するのか?
 9 人の再生能力とは?
 10 傷の再生の仕組み
 11 皮膚を維持する仕組み
 12 培養皮膚の仕組み
 13 なぜ万能細胞は期待されるのか?
 14 万能細胞で治る可能性のある病気
 15 クローンと万能細胞の関係
 16 老化は万能細胞で止められるのか?
 17 不老不死は実現できるか?
 18 万能細胞で夢の新薬は開発されるのか?
 19 万能細胞が抱えている問題とは?
 20 臨床研究はなにが重要なのか?
 21 世界で行われている万能細胞研究
 22 いま現実になっている再生医療
 23 将来有望な再生医療と必要な再生医療
第4章 iPS細胞と再生医療の未来
 1 臓器の作製 ~万能細胞による究極の再生医療~
 2 難病への決定打 ~アルツハイマー、脊髄損傷~
 3 老化のメカニズムとそれを抑える方法
 4 記憶と細胞の関係
 5 生命の死と細胞・遺伝子
 6 つくれる臓器とつくれない臓器
 7 新しい治療方法と万能細胞
 8 個体の進化と細胞の特殊化
 9 生命倫理と最新生命科学
 10 再生医療の問題点
 11 毛髪の再生はなぜ難しいか?
 12 再生医療はどう発展していくのか?
 13 究極の目標・生殖細胞の創造はなにを意味するのか?
 14 手に入れたもの、失ったもの

iPS細胞のことも含めて、バイオの分野について基礎的なことから、最先端のことを知ることができたり、また、生命倫理についてもいろいろ考えるきっかけになってよかった。

本書の特徴として、オールカラーなのが読みやすかった。特に、細胞や臓器等が実際の写真じゃなく、だからといって簡単すぎる絵でもないところがちょうどよかった。写真とかだと生々しいのに慣れてないので気持ち悪いと思ったり、気分が悪くなって読み進める気がなくなったりするけどそういうこともなく、だからといってカラーでも絵が簡単すぎるとよく分からなかったりするので。そして、科学的なことの詳細な説明の図以外にも、ところどころにその場面を表す簡単なマンガのような人物の絵が挿入されてるのも親しみをもって読み進めるのにとても役に立った。

iPS細胞等についていろいろ知ることが出来たのが良かったのはもちろんのことだけど、内容で一番心に響いたのは、「はじめに」に書かれている、科学者とは何か、科学者はどういう姿勢でいるべきか等のことだった。

ということで、科学者の社会的な役割等はよく議論されることだけど、本書のはじめにを読んだことをきっかけに、あらためてそのことを考えるのも大切なことかなあと感じた今日この頃。

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