2020年6月3日水曜日

読書環境

今日読んだ本、有限の中の無限 素数がつくる有限体のふしぎ (ブルーバックス) (西来路 文朗(著)、清水 健一(著)、講談社)の感想。

読んでいて面白い一冊だった。その面白さは、単純と複雑、簡単と難しいが共存してるようなところ。こういうと矛盾してるかもしれないけど。

最初に出てくるのは普段使っているような数、1、2、3…の四則演算、足し算、引き算、掛け算、割り算。それだけだと、そんなに不思議なことはないけど、本著に出てくるのは、日常生活で使ってるような四則演算とは違ったもの。なのにそれと同じ性質をもつ四則演算。それだけで十分不思議さを味わえたり、新しい世界に入った気持ちになれそう。

違った四則演算といっても、難しいものではなく、単純な規則だから難しいかもと心配する必要はなさそう。ちょっとした慣れは必要かもしれないけど。また、単純な規則なのに同じ性質をもつというのも不思議だったり面白いと感じた理由の一つ。

そんな単純だけど新しいこと、そのものの色々な性質から、そこに留まらずに幾何学、代数学等の分野まで影響を与えたり、活用されたりする範囲が広がっていったり、進化していったりするのも面白かった。さらに、数学の長い歴史で考えれば最近証明されたような最新の問題の概要の解説もあったりして、とにかく範囲が広いなぁと感じた。複雑だったり、難しいと感じたのは進んで行った先の箇所。

なので数学が好きな人、数学の範囲の中だけで楽しめるという人はそれだけでも十分満足できそう。また、例題の中に日常に関連することがあったり、現代社会の中の技術に活かされてる分野の話もあって、生活の中に潜んでることがわかるから、数学の範囲の中だけでは楽しめない、あるいは数学があまり好きではないという人にとっても面白い一冊になりそう。

本著の特徴としてありがたいなぁと思ったのは、途中計算の省略がほぼなく過程が記述されていたり、表や方陣も省略することなく紙面に書かれているところ。もちろん、自分自身で考えて計算したり、表や方陣を書いてみたりした方が理解が深まるだろうけど。ただ、そのおかげで、面白さに触れるという目的のみ考えると、計算したり表や方陣を書いたりしてるうちに面倒くさくなったり、飽きたりしてしまって、その面白さを感じる前に読むのをやめてしまうことがなさそう。実際により深く理解したいという人は自分自身で計算したり、表や方陣を書いてみればいいし。

なので、数学は詳しくはないけど、面白さに触れてみたいという人に良さそうな一冊。また、既に知っているけど概要の全体を素早く復習、確認したいという人にとっても最適な一冊になりそう。

ということで、本著により、新しいけど単純なことから、色々と面白いことが見えてくる、これまでとは違ったものの見方ができるということを楽しむことができて良かった今日この頃。

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