2020年5月27日水曜日

読書環境

今日読んだ本、対話・おもしろ線形代数 (木村良夫(著)、現代数学社)の感想。

書名におもしろとあったけど、本当に面白いのかどうか気になって本著を読んでみることに。そんな書名に引っかかるのは性格がひねくれてるのかも。ただ、読んだ理由はどうであれ、本当に面白ければ嬉しいし、実際に面白いことを期待。

書名の対話というように、登場人物の会話によって話が進んでいくような内容。数学の本は、公理、定義、定理、証明、具体例といった感じで進んでいくもの、線形代数ならベクトル空間、行列、行列式の定義、性質、定理、証明等が続いていく感じの本が多い印象だけど、本著はそうではなかった。それを対話形式に変えたといった感じ本ではなかった。

具体例をを上げながら会話が進んでいき、その中で必要な、あるいはその中に出てくる、線形代数の定義や用語、性質を解説していくといった感じ。それだけだと、よくある線形代数の本の内容を対話形式にして、順番を入れ替えただけといった感じになるけど、そういったものでもなかった。

よくある、少なくとも今まで読んだことのある線形代数関連の本と違うのは具体例について。今まで読んだことがある本の具体例は、行列を利用すると楽になったりわかりやすくなる、あるいは行列が必要な数学の他の分野等の具体例、大袈裟に言えば抽象的なものを抽象的なもので例えるような具体例だけど、本著の具体例はは日常生活にあるような、社会生活にあるようなものだった。それを行列で表し、どんないいことがあるか、どんなことができるか、どんな便利なことがあるかといったことを教えてくれるような内容。

そのおかげで話が想像しやすかった。また、それが本著を面白く読み進めることができた理由の一つ。

なので、線形代数を学習していて、なんでこんなことを学習する必要があるのか、何の役に立つのかということがよく分からないまま学習してる人に最適な一冊になりそう。また、線形代数の抽象的な世界の中で完結してそれを楽しめる人はいいけど、そうではない人は、具体的な、日常的なことに関連づけることができて、楽しみながら線形代数を学べるようになるかも。あるいは楽しめなくても、役に立てることができるようにはなりそう。もちろん、抽象的な世界の中で完結して楽しめているという人も、より具体的なことと関連づけて線形代数を今までとは違う側面から眺めることにより、新たな一面が見えたり、何か新しい発見があったり、理解が深まったりするということもありそう。

最初に記述した、おもしろという部分について、内容については面白かったけど、対話については普通かなぁといった印象。対話の感じは線形代数の内容以上に好みの個人差があるだろうから、本著の対話の雰囲気も面白いと感じる人は、より一層本著を楽しむことができそう。

本著を読む上のの注意点としては、コンピュータープログラムのコードが出てきて、そのプログラミング言語がBASICであるということ。BASICを知らない、馴染みがないという人はちょっと躓くかも。ただ、その部分を読み飛ばしても大きな影響はなさそう。本著の改訂前の初版が1993年だからそうなのかも。改訂版なので、それを現在よく見かけるPythonとか変更してくれてたらより嬉しかった。現在でもBASICはよく使われていて、偶然あまり見かけてないだけかもしれないけど。

ということで、書名のおもしろという部分に引っかかって本著を読み始めたけど、それとは関係なく線形代数のいい復習になったし、また復習だけではなく、豊富な身近にありそうな具体例のおかげで、より線形代数についての理解が深まったり、馴染めたり慣れたりすることができた気がするし、今後それを日常で役立てることができそうだから、本著を読んで良かっし、また、まだ最初から最後まで読んだだけで、途中で出てきた問題等は取り組んでないから、それをじっくり取り組んで、より線形代数の理解を深めることができたり、活用できるようになればいいなぁと思った今日この頃。

0 コメント:

コメントを投稿