2019年12月30日月曜日

読書環境

今日読んだ本、幾何再入門 (G.ジェニングス(著)、伊理 正夫(翻訳)、伊理 由美(翻訳)、岩波書店)の感想。

数学の本、特にその中でも好みな幾何学の本で、面白そうだったから本著を読んでみることに。もう年末だけど、今年に出会った中で良かったなと思える本の上位にくるような本だった。

まず、注意点としては、幾何再入門の指す幾何について、中学や高校くらいまでに学ぶようないわゆるユークリッド幾何学ではなく、非ユークリッド幾何学だということ。中学や高校までの幾何学をじっくり復習したい、再入門したいという人には当てはまらない一冊になってしまうかも。ユークリッド幾何学、非ユークリッド幾何学って何って人に、公理とか定義とか難しいことではなく簡単に違いを言ってしまうなら、ユークリッド幾何学は中学や高校くらいまでに学ぶ幾何学、三角形の内角の和が180°であるような幾何学。非ユークリッド幾何学は三角形の内角の和が180°にはならないような幾何学。ユークリッド、非ユークリッド幾何学とか全く知らない人にとっては不思議な話かもしれないけど。

本著の特徴としては、再入門ということで基本的なことを押さえつつも、応用例も十分な内容があるということ。場合によっては、

双曲幾何の話は伝統的な話題ではあるが大学生によくわかるような応用は殆どないので取り上げず、代わりに特殊相対論の時空の幾何を取り入れた。
とあるように、伝統や基本より、応用に合わせて取り上げられている話まであるということ。応用について、特殊相対論はもちろん、それ以外にも物理学への応用の話だったり、また、より想像しやすいかもしれない、地理、地図、航海での応用例などの話も。あと、コンピューターの丸め誤差の話などもあったり。

本著の内容と直接は関係ないけど、本著が嬉しかったのが非ユークリッド幾何学の、分かりやすく想像しやすい、そして応用の話まである本で、一般書としても良さそうなところ。というのも、最近機械学習や流行りの言葉で言えばAIとか関連の技術で、線形代数(線型代数)や統計学の一般向け、あるいは再入門したい人向け、また、実際に機械学習にすぐ使えるということで応用という意味でも十分な内容の本はたくさん見かけるけど、ちょっと進んだ幾何学の一般向けっぽい本はあまり見かけない気がするから。と言っても本著は最近出版された本ではないし、また、たまたま幾何学のそういう本に出会ってないだけかもしれないけど。

あと、非ユークリッド幾何学の再入門とは言ったもののの、最初の章はユークリッド幾何学の話で、その部分も十分に面白かった。非ユークリッド幾何学に触れていてばかりで、ユークリッド幾何学の基本に触れたのはかなり前という人に、非ユークリッド幾何学をさっと復習する本、そしてユークリッド幾何学も思い出してみる、確認してみるというのに最適な一冊。ユークリッド幾何学の話は、詳細すぎず、かと言って簡単すぎず、そして応用の話もあり、さっと復習するのにちょうどいい難易度、長さだと感じたから。

また、中学、高校までに学ぶような幾何学、ユークリッド幾何学は知っていても、非ユークリッド幾何学って何っていう人にも最適な一冊になりそう。最初にユークリッド幾何学の章、話があるおかげで、いきなり非ユークリッド幾何学の話で躓くことなくスッと本著に入っていけそうだし。

ということで、今年ももう終わりに近づいているけど、終わる前に好きな幾何学の面白い一冊に出会えて良かったし、幾何学の面白さを再確認できて良かった今日この頃。

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