2019年11月21日木曜日

読書環境

今日読んだ本、フィンランドの教育はなぜ世界一なのか (新潮新書) (岩竹 美加子(著)、新潮社)の感想。

大学受験制度改革での、新しい受験制度、仕組みについて、なんか騒がしいニュースを見かけた中で、「通常の受験を受けさせてください」といったものがあった気がして(そんなに興味があったわけではないから記憶は曖昧だけど、おそらく 筑駒生、大学入学共通テスト中止を訴える 「ぼくたちに入試を受けさせてください」 このニュース記事だった気がする)、受験自体は受けたいんだ、入試なしで行きたい、学びたい大学に入れる方がいいと思うのにそうは思わないのかなぁと思ったことを思い出して、本著を読んでみることに。というのも、フィンランドの教育では試験がないって話を聞いたことがあった気がしたから。

内容は、フィンランドの教育の話、そしてそれと比較した日本の教育の話といった感じだった。フィンランドの教育を参考に、日本の教育の問題点を挙げているような話。

また、フィンランドの現在の学校教育、あるいはそれに直接関連するような環境の話だけではなく、そのような教育の理念、方針、そうになっていった経緯等の話も豊富だった。フィンランドの教育システムについて知れればいいなぁと思ってただけだったので、その他にも思わぬことを知ることができて良かった。

また、教育はその人に大きな影響を与えることだから当然といえば当然だけど、フィンランドという国、国民性もなんとなくではあるものの知ることができて良かった。そんなに馴染みがある国、大きな印象がある国ではなかったから。どうしても海外の国を知る機会は、小国ではなく大国の方が多いからかも。大国の出来事の方がニュースになりやすいだろうし。といっても、それによって偏った印象をもつということもあるかもしれないけど。

そういった意味では、大まかには北欧の小国というイメージしかなかったから、中立的にフィンランドのことを知ることができて良かった。著者による偏りはあるかもしれないけど。

内容でちょっと気になったこととしては、フィンランドの教育等の問題点を挙げていることもあったけど、どちらかというと日本の教育を批判してフィンランドの教育を称賛している傾向が強すぎるのではないかと感じたこと。両者を比較して日本の教育の方がいいという話ももう少しあればいいのになぁと思った。本当にいいと思う分が著者にはなかったなら仕方がないけど、実情はそんなことはないと思うし。

具体的な内容としては、フィンランドでは無償ということが強調されていて、日本では奨学金等の返済が出来なくなったという話。もちろん、どの子供にも平等な教育機会があるのは必要だし当然だと思うけど、気になったのは方法論について。極端な話で例えるなら、フィンランドでは無償といっても、教育機関等で働いている人は無償で働いているわけではないし、もしその無償で国家が税金で支払っているものが支払えなくなった場合、全員が教育を受けられなくなる可能性があるし。その一方、日本は奨学金等の返済ができないといっても、教育を平等に受けられたということは事実だろうし。

もう一つの例としては、教科書について。日本の教科書検定、正確な用語、法律的に正しい使い方ではないかもしれないけど、教科書の検閲は好ましいことではないと思うけど、仮に完全に教師、あるいは生徒、保護者、関係者だけで決めるとなると、その労力が大変そうだと思ったりも。また、労力だけではなく、その後の結果についても、教師が重大な責任を感じてしまったり、さらには教師を責める保護者等が出てこないのかなぁなんて思ったり。

例としてあげたことは、程度の問題だったり、小国だから可能だったり、あるいは他の要素等で可能だったり不可能だったりすることもあるのではないかなぁと感じた。それだけ、教育は考え続けなければならないテーマということかもしれないけど。

ということで、日本の教育とはある側面で真逆の教育理念、方針、思想なことを知ることができて良かったし、また、教育だけではなくフィンランドについても色々と知ることができて良かった今日この頃。

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