2019年8月15日木曜日

読書環境

今日読んだ本、トポロジー入門 奇妙な図形のからくり (ブルーバックス) (都筑 卓司(著)、講談社)のの感想。

読む前は、入門ということで、数式や定理等が出てこない、あくまでトポロジーの考え方、外観、概念を解説するような本かなぁと想像。実際読み終えるとそうでは無かった。そんな難しい数式ではないものの、簡単な数式が出てきたり、定理等も出てきて読み応えがある一冊だった。

読み応えがあると言っても、難しいとかいう意味ではなく、その定理等に到るまでの解説がなるべく易しく、抽象的ではなく一般的な言葉で、具体的な例をあげながらという感じ。特に例とその解説についてなるべく噛み砕いて、わかりやすい、イメージしやすい例でという印象。

内容について、例が豊富で、同じことについてもいくつかの例があるのも良かった。例えば詰将棋の例があったけど、将棋を知らない人にとっては何のことだか分からないかもしれないけど、同じことの他の例もあるから、詰将棋の部分を飛ばして読んでも他の例で補うことができて十分問題なさそう。

数学の専門書でトポロジー、位相空間に入門しようとすると、ブルバキ流ならまずは開集合、その補集合として閉集合等を定義して、さらには連続写像等の話が進んでいき、その具体例としては実数値関数の例が多い印象。少なくとも今まで読んだことのある本については。理由としては、既知の数学の分野での具合例をあげるには実数値関数の連続等の例しかない、あるいは解析学、微分積分学を並行して学習からそうなってるのかも。あくまで想像でしかないけど。ただ、そのような具体例だと、せっかく位相空間を学んでいても、トポロジーの話から離れていってしまうような気がしたり。

なので、そのような学習を始める前、あるいは並行して本著を読むと良さそう。本著は例を含めてあくまでトポロジー中心の話だから。

もちろん、最初に書いたように、決して内容が簡単というわけではないけど解説がわかりやすいから、専門書で入門とは関係なく、単にトポロジーって何だろうと興味がある、あるいはトポロジーに興味を持つきっかけにも最適な一冊。 また、トポロジーが目的ではなくても、今まで見てきた図形を全く違う視点で考察すると言う意味で、あるものを全く違った側面からみるという考え方を身につけるのにも役に立ちそうな一冊。

ちょっと欲をいえば、もう少し文体が自然な感じだといいなぁとは思ったり。内容は数学の専門書のように堅い感じではなくなるべくわかりやすく易しく解説してくれる感じだけど、文体自体は数学の専門書のような堅さがあるかなぁと感じたから。

また、本著は復刊版だからか、トポロジーとは直接関係ないけどちょっと気になったこともあったり、多色問題、四色問題(現在は四色定理といったほうが正確かも)についてまだ証明されてないことになってたり。ちゃんとまえがきにそのことについて書かれてはいたものの。あと、ディーゼルではなジーゼルと記述されてたり。復刊についての決まり事みたいなことに詳しくないけど、書き換えるのはよくないことなのかも。あるいは、ちょっとだけ調べてみたら、Wikipediaディーゼルエンジンの項目に、

日本の自動車整備士国家試験では現在でもジーゼルエンジンと表記している。
とあるから、特に書き換える必要が無いだけかも。何れにしてもトポロジーとは関係ない話ではあるものの。

と言うことで、トポロジー、位相幾何学の概要、あるいはある程度の詳細まで入門できて良かったし、その感覚を意識しながら再び位相空間論、開集合、閉集合等を復習してみようかなぁと思ったり、よりその理解が深まればいいなぁと思った今日この頃。

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