2019年8月9日金曜日

読書環境

今日読んだ本、決断-会社辞めるか辞めないか (中公新書ラクレ) (成毛 眞(著)、中央公論新社)の感想。

本屋をうろうろしてたら、赤い帯が目に飛び込んできたし、せっかくだから入手。ということで、特別に会社を辞めるか辞めないか、転職するかどうかを考えて入手したわけではなかったり。ただ好きな色が赤だから目に止まったという理由。

本著を読み始める前に、転職系の本といえば、すごい転職を薦める、いいところばかり列挙する、さらには自己啓発的な話にまで進んでいくような本か、転職の負の側面を強調して転職を薦めないという本が多い印象だったり。少なくとも今まで読んだことがある本では。だから、またそのような本だったらつまらないかもなぁ思ったけど、読み終えてみたらそうではなかったから満足。

もちろん、内容がそうではなかったからというだけではなく、内容自体も面白かったから。内容で主な割合を占めるのは、インタビュー形式で著者と四人の方とのそれぞれの対談。四例と考えると少ないと感じることもあるかもしれないけど、それぞれ違った性格っぽい人、そして違う業界、また、会社を辞めるか辞めないかだけではなく、辞めたその先もそれぞれ違った例で面白かった。

特に嬉しかった箇所は、辞めないという選択をした方の話。最初にも書いたけど、すごい転職を薦めるだけの本ではないことがはっきりと分かる例だから。

また、会社を辞めるか辞めないか、転職するか独立するかとかいうことと関係なく、四人の方の人生、経歴、どんなことをしたり考えたりしてきたかということや、人柄的なことから、それぞれの業界のちょっとした歴史みたいなことの話がとても面白かった。このことも転職するかどうか考えてるわけではない中でも本著を読んで満足した理由の一つ。

ただ、ちょっと気になった記述もあったり。最初の方にあった

一つ一つの会社が変わる、というレベルに止まることなく、一つの産業"丸ごと"での激変…
一つの業種がまるまるこの世から消えてしまう…
産業構造の大変革で、この先あらゆる産業において、身の振り方を考えなければならない人が続出するだろう。…
という箇所。未来のことは分からないといってしまえばそれまでだし、実際に著者の見立て通りになる可能性も十分あると思うけど、そうはならない可能性もあるのではないかなぁとも思ったり。

そうではないというのは、特に身の振り方を考えなければならない人が続出するということについて。上記のような変革はいつの世の中、時代にもあったことだろうし。業種を絞って考えればより高い可能性で。分かりやすいことでいえば、今のトヨタ自動車や日産自動車(日産自動車は今、色々とあるみたいだけど)は元々自動車会社だったわけではなく、自動織機会社から自動車会社にある意味丸ごと産業が消えて新しい産業になったわけで、"身の振り方"を"会社を辞める辞めない"で考えた場合は、必ずしも辞める必要があったわけでもないのかなぁと思ったり。といっても実際のデータを見たわけではないから、もしかしたら会社が織機から車になった時、会社を辞めざるおえない人が多くいたかも。

あともう一つ欲を言えば、気になった点として
いかに失敗を防ぐか?それは、成功者に学ぶしかない。
というところ。四人の方の四通りの決断の成功例の話に続いていくわけだけど、四人の方と同じような状況、同じような考え、同じような決断をしたからといって、必ずしも成功するわけではないのではないかなぁと思ったり。むしろ成功者より、多くの決断の失敗者から学ぶことの方が多かったりしないかなぁとも思ったり。なので、欲、理想をいえば同じような環境の方の成功例と失敗例で四人ではなく八人の八通りの例があると嬉しかったかも。といってもあくまで理想で実現は難しいことではあるだろうけど。あと、そう思った理由としては、私自身が、何人かの人があることを全く同じようにしても、結果、成功するのはごくわずかな人で、失敗する人の方が遥かに多いと考えていて、性格がひねくれてるからかも。

内容の最後の方の部分については、決断に必要なことの記述が書かれていて、その内容についてはいいものの、「何々しろ」とかちょっと高圧的なのがちょっとムッとしたり。ということで、ちょっと距離を置いて、読み流す感じで乗り切った。これは単なる好みの問題ではあるかもしれないけど、実際に今、本著の趣旨である会社辞めるか辞めないかということを考えてたり、決断する寸前だったりする人にとっては、軽く背中を押してくれる、いいきっかけにもしかしたらなるのかも。

ということで、おそらく著者の趣旨とは違う理由で本著を入手して読んだものの、それぞれの方の色々な人生、生き方、考え方等が知ることができたのも、話の内容が面白かったのもよかったから、結果的に本著にたまたま出会ってよかったなぁと思った今日この頃。

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