2019年7月7日日曜日

読書環境

今日読んだ本、女医問題ぶった斬り! 女性減点入試の真犯人 (光文社新書) (筒井 冨美(著)、光文社)の感想。

自分自身は医療を受ける側の人間だけど、著者が麻酔科医ということで医療を提供する側の意見考えということで本著を読んでみることに。その他の期待としては、著者は女性、かつフリーということで、少数側だったり、女医問題の女医側だったり、フリーランスということで、ある程度客観的な意見、考えの一つだったりすること。

ニュースになったような事件が起きた現状のシステム、制度上の理由、あるいは問題、課題等がわかりやすかった印象。また、著者から見たものではあるものの、どういう考えをもっているの女医が多いか、現在の女医がどういう立場に置かれているかということについても同様だったり。

ただ、ちょっと気になる点も結構あったり。具体的な個所の一つとしては、

…日本型エリートコースは、体力的・精神的に女性が生涯を通じて働き続けるキャリアパスとしては厳しいこと…
違法なことは当然是正されるべきことだとして、仮に違法状態の場合、このような悲しい事件の発生が女性だからという理由と関係あるのかどうかということ。男性が過労死という悲しい出来事は過去に起きてるし、そういうことについての詳細なデータが本著では示されていないから。また、著者のいう日本型エリートコース上にいるおそらく現在は男性の方が多い(?)のを、全く逆にした場合、同じようなことは女性にとって厳しいことなのかということ。逆に男性の方が厳しい可能性があるかどうかということとか。比率については現状のことと違う仮定の話だから、著者の言いたいことと話がずれてしまうのかもしれないけど。

上記の引用よりあとの部分で、

…長時間労働やパワハラ・セクハラに苦しむ…
とあるし、キャリアパスとしては厳しいというより、別の問題があることを著者自身も記述してるような。これについては上記で仮に男女の比率が逆だった場合と書いたけど、男性、女性に関係ない問題だったり。

気になった他の一つの例としては、

…男性医師が注目されるには、「まず仕事で成功し、ついでメディア活動すべき」という無言の圧力が確実に存在する…
女性医師はそうではないみたいな記述があったけど、もし医師の男女比率が真逆だったとしたら、女性医師がそのような立場になる可能性もあるのではないかなぁと思ったり。現状ではそうだとしても。

他にも、女性医師はこういう風に考える、こういう傾向があるという話があったけど、現状の社会の医師の男女比率が真逆だった場合、本当にそのような傾向があるのかどうかということが気になったり。医大卒や海外の例により、男女の比率はあまり変わらなくなったけどそのような傾向があるという記述もあって、確かにそうなのかなと思うようなこともあったけど、あくまで現状の社会を眺めて医者になろうと思ったり、そのための勉強をしたり、どの専門の医者になるか、どのような医者になるか影響をウケると思うから、現状の男女比率が真逆になった時に、考えられていた傾向と全然違うことにならないかということが気になったり。いくら入り口を平等にして考えても、その後に見える景色が変わらない限り、ある種のハンデを背負っていることには変わらないと思ったりするから。

最後にもう一つだけ気になった具体例として、

…医大を目指す女子学生の人生設計には、まずは最優先事項として、結婚出産育児がデフォルト設定されており、…
という箇所。結婚等の価値については置いておいて、いずれ結婚したい、家庭を持ちたいという意思がある男性医師も同様に最優先事項においてるのではないかという疑問。そのような男性は、結婚して当然、結婚した相手の女性が出産して当然、結婚した相手の女性が育児をして当然と考えていて、最優先事項になってるけどそのことに自分自身も気付いてない、意識してないだけで、最優先事項の中に結婚はデフォルト設定されているのではないかと思ったり。その上で出産は別途して、育児がデフォルト設定されていないなら、それは男子学生の問題ではないのかなぁと思ったり。一応断っておくと、その夫婦がそれでいいならどんな形でもいいし、女子学生、男子学生がそれぞれどう考えても構わないけど。一般環境として仮定するのがおかしいのでは、という話。

最後の方に書いたことは、特に医師という職業に限らず、現在進行形で社会が少しずつ変わってきてることではあるだろうけど。

ということで、気になったことを主に書いたものの、現状の医療を受ける側ではなく、向こう側、医療を提供する側の様々な事情を知ることができてよかった今日この頃。

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