2019年1月29日火曜日

読書環境

今日読んだ本、方程式のガロア群 深遠な解の仕組みを理解する (ブルーバックス) (金 重明(著)、講談社)の感想。

ガロア群等、ちょっと進んだ数学の専門的な、基本的な話だけど、専門書ではなく一般書なので、専門書ほど難解な感じではなかった。ただ、一般書とはいっても、全体をしっかり読むには高校数学くらいまでの前提知識を必要な内容。

専門書ではなく一般書らしかったのは、そこまで厳密では無いところ。専門書だと、公理、定義、定理、命題、その系、そしてその証明という順番に繰り返していく感じな印象だけど、本書は専門書のように定義や定理、その証明はありつつも、難度が高い内容や難しい証明等はバッサリ省いていたり。あと、証明があるものの解説も、専門書のステップバイステップをさらに細かくした感じだったり、綺麗な証明を示しつつも、その証明にたどり着くための試行錯誤がたっぷり記述されている。そして、例題も専門書のように単純なものから複雑なものへという感じよりは、単純なものや理解しやすいものを豊富に、という感じだった。そういうこともあって、厳密性よりはその結果の意味、意義、素晴らしさをより強調されている印象。

なので、高校数学くらいまではある程度理解している、自信を持って理解しているという方にとって、証明や、その証明に必要とされる定理の理解、証明ということをある程度省略して、現代数学(群論等)はどのような感じなのかを知るのに適した一冊。また、これから大学等で代数学、群論等を学ぶ前に、全体像を眺めるのにも適してたり。

逆に、すでに大学等で代数学、群論、方程式等について学んだものの、証明等に躓いて途中で分からなくなってしまった、学習意欲が低下してしまった方は、本書を読んでその意味や存在意義、歴史等を俯瞰してからもう一度専門書を読んだりすると、躓いていた箇所を乗り越えて、理解できるかも。あるいは、躓かずに既に理解していると思っている方も、全体像、概要を素早く俯瞰することで、分かっていることでもさらにより深く理解することができる可能性のある一冊。

ということで、代数系の、特に方程式のガロア群に関係する専門書を読みつつ、躓いたら本書に戻り、そして再び専門書を読むということを繰り返し、より深い理解を得て、さらに数学を楽しもうと思った今日この頃。

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